四葉本宅にて

四葉本宅は私の研究所から車で20分のところにある。四葉の結界境界のあるトンネルは15分のところだ。その15分の時間を利用して四葉家へ連絡をいれていた。

「葉山さん、夜分遅くにすみませんが今から真夜ちゃんに会いたいの、急用で。伝えてもらえるかしら?」
「リン先生こんな夜遅くに何事ですか?しかもいつも連絡なんてめんdと言って結界を正面突破なさるのに連絡をよこすなんて。」
「なんでこんなに酷い言われようなんだろう。だいたい私が正面突破するのは確実に起きてると・・・いやいいわ、とにかく緊急事態よ。達也くんと深雪さんも巻き込まれる可能性がある。あと6分くらいでトンネルに差し掛かるわ。」
「了解いたしました。すぐにお伝えします。幸いにもまだ当主様はお休みではありませんし。」
「あら、もうすぐ12時半よ?何をしてるのかしらね。まあ都合がいいわ、よろしく。」

まったく葉山の言いようは酷い。別に結界を正面突破してるわけではないのに。そんなの博麗の巫女とか結び離れ分つ結う代やら隙間に潜む者だけで十分よ・・・。

四葉本宅に着き、メイドの案内で応接室に向かった。私が座ると同時くらいに深夜ちゃんが入ってきた。

「真夜ちゃん、こんばんは、夜遅くにごめんね〜。」
「リン先生、今12:30ですよ?本当に急用なのですか?達也さんと深雪さんも巻き込まれると聞きましたが?」
「ええ。大亜連合の工作員が暗躍しているのは知っていると思うけど、その大亜連合、横浜と京都に熱核攻撃を仕掛けるみたい。目標は魔法協会のデータバンク。京都への対熱核兵器魔法師部隊妨害部隊も横浜から侵入するらしいわ。」
「熱核攻撃ですって!?」
「えぇ。」
「えぇって・・・。USENは?」
「もうじき内情から伝わるかと。」
「USENの反応が鈍いのはおきまりのアレのせい?」
「そうよ、おきまりの日本弱体化計画。」
「やれやれ。しかしそうなると論文コンペティションは中止かしら?」
「いいえ、それでは彼らに悟られてしまいます。それに、敵の行動開始は、発表の最中。おそらく第一高校の発表が終わるか終わらないかくらいではないかと。」
「なんでそんなことが・・・リン先生なら仕方ないか。なるほど、達也さんと深雪さんが巻き込まれると。それで私に望むことは何でしょう?」
「1つ目は敵の侵入に呼応するであろうゲリラの事前取り締まり、こちらは無理かもしれないですが。
2つ目は聖一が首相に直接掛け合ってる最中とは思いますが、11/2にある国防軍の新装備テストの集合を31日午前中に完了するように変更して欲しいということ。これは確実にお願いします。
3つ目は達也くんにこの事を伝えて警戒を求める事。
4つ目は明日の論文コンペティションで会場警備に加わる十文字克人くんと一条将輝に十文字家と一条家を経由して事態をぼかして伝える事、もちろん熱核攻撃の事は伏せて。
5つ目は、他の十師族、師補十八家、百家のうち論文コンペに参加していそうな家全てに救助目的を含む一切の横浜上空の飛行禁止。救助と称してヘリコプターでも出されたら格好の地対空ミサイルの標的になり、そのために国防軍が戦力を割かなくてはならなくなるしね。これは事変が起こってからね。
6つ目は対大亜連合強硬派を抑える事、和平交渉がおそらく始まる事になるとおもうので、茶々を入れられた挙句、戦略級魔法師の動員、特に達也くんを動員されることのないように。お願いできるかしら?」
「了解したわ。先生はこれからどちらへ?」
「横浜に。工作は現地にいた方がやりやすいですし。」
「そうですね。黒羽の皆様をお貸ししましょうか?」
「いいえ、ゲリラの炙り出しに総力をつぎ込んでください。」
「そうですか。分かりました。では先生お気をつけて。」
「ええ、もちろん。」

警視庁魔法犯罪対策課の千葉警部と独立魔装大隊の藤林響子が接触したらしい。ここは千葉警部と会うのが先決だろう。
車に乗り横浜へと向かった。