有能な首相ほどありがたいものなし

熱核攻撃を伝えた時の首相とその取り巻きの驚きようは凄まじいものだったが、流石常識は捨てるものと公言する首相、立ち直る速度がちがう。

「なるほど、流石リン先生、USENより先に事態を把握するとは。で、私に求めるのは外交面の対応ですかな?」
「流石話が早い。ただそれ以外にも幾つか欲しいのですよ。」
「と言いますと?」
「ひとつは内閣府直属の魔法師部隊予備隊を欲しいのです。2つ目は11/2に予定されている国防軍の新装備テストの現地集合を明日・・・というとややこしいな、10/31日午前中に完了するよう、手配して欲しいのです。」
「新装備テストの集合を?ああなるほど、核の事を言わずに済むと。」
「ええ、そういう事です。」
「分かりました。予備隊のほうは2時間くらいかかりますが?」
「構いません。それでは私は他に行くところがあるのでこれで。連絡には彼を使ってください。もちろん他の事に使っても構いませんが。自己紹介を。」
「はい、田中太郎です。よろしくお願いします。」
「聖一先生?本名ですか?」
「ええ、戸籍上では。」
「・・・聞いた私がバカでした。」

なんか諦めたような顔をしていた気もするが気にしない。次に向かうのは交通管制部だ。市民の脱出の主力になるであろう、キャビネットとコミューターの増便を要請しなければならない。

交通システムの近代化とともに、大型イベント時の混雑緩和のために、イベント会場ごとエリアごとに周囲のコミューター数を増便できるようにシステムが組まれている。これにより1週間前までに申し込めばコミューターが増便される。

しかし問題なのは明日なのだ、悠長に申請しているわけにはいかない。そこで直接ねじ込みに行くわけだ。